カレー系バックパッカーのブログ

世界一のカレーを求めてどこまでも

県境、国境なんか関係ねぇ!

カンボジアの天才子役

夜のシュムリアップは想像以上に治安が良かった
裏通りにさえ入らなければなら、危険そうな人など見当たらない
バイクタクシーも昼ほどは客引きもしつこくなかった


しかし、僕からして一番怖いのは野犬だった
野良猫感覚で野犬がいるのだが、
どれも痩せていて飢えた目を光らせながら、うろついている

僕にとって野犬に噛まれる=狂犬病の公式が頭に染みついていたので恐怖だった


夜の街を歩いているとポメラニアンの様な小型の野犬の横を通った
そんなに気にしていなかったのだが、振り返ると目が合う
するとポメラニアン野犬はこっちに方向転換をし、小走りでやって来る
ヤバいと思いダッシュするとポメラニアン野犬もダッシュ
カンボジアナイトのドラッグレースの幕開けだった

現実ではこんな犬に追いかけられていたのだが、
僕の脳内では↓に変換されていた

なんとか逃げ切る事が出来たが、周りを歩いていたカンボジア人が野犬に異様にビビっている僕の姿を見てクスクス笑っていた


追いかけられた恐怖と笑われた恥ずかしさでその場でハラキリしてやろうかと思ったが、気持ちを落ち着かすために、癒しの看板娘2人がいる食堂へ向かった


食堂で食事をしていると、物乞いが来ることがたまにある
食堂にいる客一人一人にお金を貰おうとする姿はとても可哀想に思えた


今日は来ないなーと思いつつ料理を食べている時、ふと背後を見ると車椅子に乗り、
ボロボロの赤いシャツを着た10歳くらいの少年が
今にも死にそうな顔をして両手を差し出して来ていた


気配が全く無くいきなりの事だったので、うわっと声を出してしまった


ボロボロの車椅子に乗りながら、両手を小刻みに震わせながら差し出す姿は
見てられなくて財布からお金を取り出して渡した


するとお金を袋に入れ、車椅子をぎこちなく操り次の客の所へ向かう


カンボジアの闇の部分を見てしまった事で楽しかった食事も
みんなテンションが下がってしまった


気分転換をしようと、夜食のパンを買いに街中を歩いた


パンを買い、宿へ戻る途中歩いていると、
さっきの赤いシャツの少年が友達らしき集団と地べたに座っていた
仲間が居るなら良かったと思いながら隣を通ると、
少年がこちらに気づき当然の様にスッと立ち上がった


いや、車椅子いらんやないかーい!
とツッコミを入れると、さっきの死にそうな顔が想像できないくらいの笑顔
今日はこれだけ稼いだぜぇー!と言わんばかりに
お金の入った袋を自慢げにジャラジャラさせていた

そう、この少年は偽クララだったのだ


痩せてはいるが車椅子など全く必要のない子供で、家は無さそうだったが、
仲間達と楽しそうにお金をジャラジャラ鳴らしている姿は
日本の無邪気な子供と変わらない様に見えた


生きるための知恵を使い、ボロボロの車椅子と、
日本の子役もびっくりの演技てお金を稼いでいる
僕はこの少年に逞しさを感じた
さっき渡したお金も、もっと渡したいくらいだった


すると少年達は僕らが持っていたパンを見つけると、
食べさせてとジェスチャーをしてきた
どこまで逞ましいんだと思い、一つ渡すと仲間達で分け、笑いながら食べていた


何が幸せで何が不幸なのかを考えさせられる出来事だった
物乞い=可哀想な人と思っていたが、
少年の仲間達といる様子を見るとそんな事は感じなかった


この出来事で自分の適当な物差しで
人の幸福 不幸を測る行為は驕りだと感じるようになった


可哀想と簡単に決めつける事はその人を理解する事を辞める事
 ただの可哀想な人に自分の中で仕立て上げるだけだ


人それぞれ、国それぞれ、人には人の幸福の感じ方 人には人の乳酸菌
世の中はビオフェルミンのような世界だと思いながら眠った


続く